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地域総合小児医療関連情報
2024/11/29

第11回地域総合小児医療認定医指導者研修会報告

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今回の指導者研修会のテーマは、「思春期の子どもに対する医療面接」でした。地域総合小児医療認定医にとって思春期医療はこれから重要になってくる分野です。しかし苦手とする小児科医も多いと思います。今回はこの分野に精通されている阪下和美先生に講師をお願いしました。


・日時:2024年11月4日(月・祝日)

・場所:ビジョンセンター浜松町

参加者は37名でした。

伊藤会長の挨拶のあとプログラムが始まりました


午前の部 1)思春期の子どもに対する医療面接 

思春期は、脳の辺縁系と前頭前皮質の発達がアンバランスのため、脳の脆弱性が強い時期で子どもは自己中心的です。心の症状は体の症状と密接に関わっています。子どもには、HEEADSSSSを利用し問診を行うと、簡単で漏れが少ない問診が可能となることを学びました。HEEADSSSS とは、H:Home, E:Education/Employment, E:Eating/Exercize, A:Activities, D:Drug use/abuse, S:Sexial behavior,/sexuality, S:Sexuality and depression, S:safety, S: Sleep で、それぞれについて何を尋ねればよいのかについて学びました。


午前の部 2)思春期の子どもを持つ親への説明・ペアレンティング

思春期診療には子どもの保護者への面接が大切で、子どもには発達途上の脳の脆弱さがあるので、思春期は心身の不調のリスクが高いことを伝え、親が行動の基本になることからどんな親が望ましいのかなど親へのアドバイス(ペアレンティング)について学びました。

▹午前の部 1)2)のまとめ

思春期は心の不調を呈しやすい時期であること、HEEADSSSSなどのルーチンで心理社会面を評価すること、まだ症状が出ていない時期にこどものこころの不調に気付き対応することが必要であること、本人としっかり話せる親であるために幼少期からのペアレンティングが重要であることとまとめられました。


午後の部

午後からは模擬医療面接を行いました。中学2年から高校生の15名にボランティアとして参加していただき、心に問題を持つ生徒を演じていただきました。参加者は3~4名のグループに分かれ、一人ひとり10分の模擬医療面接を行いました。
参加者からは当初は何を聞いてよいのか10分で足りるのかなど不安の声もありました が、数名のロールプレイの後は10分では時間をもて余すこともわかり、面接だけでも多 くの情報が得られ、子どもたちの持つ悩みまで聞き取ることも可能であることも理解で きました。最後に伊藤会長よりボランティアとして参加していただいた学生全員に感謝 状が贈られ終了となりました。

総括

今回の研修で思春期の子どもへの対応のハードルを少しでも低くすることができた研修会となりました。参加者からは感謝の声が多く届けられました。今後も多くの皆様にご参加いただける研修会を目指していきます。



(関連記事)

・第11回 地域総合小児医療認定医指導者研修会が朝日新聞に掲載されました。
(本記事は朝日新聞との取り決めにより期間限定公開となります。掲載期限:2025年12月23日まで)