第9回 子どもとメディア全国フォーラム を終えて。

平成30年1月27日(土)・28日(日)、なみきホール(福岡市)にて、
第9回 子どもとメディア全国フォーラムが開催されました。
今回で9回目となる当フォーラムでは、
「スマホ社会における子どもの育ちの歪みや遅れの実相」を、
幅広い分野の専門家・先生方と共に明らかにする意義ある2日間となりました。
●1月27日(土)
トークセッション1 「スマホ社会と子どもの育ち」
【身体】~子どもの「からだと心」のいま~
野井 真吾 先生(子どものからだと心連絡協議会議長、日本体育大学体育学部健康学科教授)
【 脳 】~大規模脳画像データベースから見る小児の脳発達と生活習慣、メディアの影響~
瀧 靖之 先生(東北大学加齢医学研究所教授・脳科学)
【 目 】~スマホ社会と子どもの目の発達~
富田 香 先生(平和眼科院長・杏林大講師・小児眼科学)
「スマホ社会と子どもの育ち」では子どもの身体と心にに焦点をあて、
脳の発達や目の発達に与えるスマホ社会の影響につき講演されました。
●1月28日(日)
特別講演「ゴリラ研究者からみたスマホ社会」
山極 壽一 先生(京都大学総長/人類学・霊長類学教授)
700万年に及ぶ動物の進化を基に、優劣重視の「サル社会」、勝ち負けのない「ゴリラ社会」などの研究を通して人間社会の特徴を述べられました。
人間は、身体の発達より脳の発達が優先されていることや、乳児が泣いたり微笑んだりする意味、人間にしかない離乳期、思春期など人間の成長について述べられました。
また、食べ物を分配して一緒に食事する共食、協力して子どもを育てる子育てが人間社会にしかないない家族制度が出来上がったとのことですが、食事は孤食になり、家族による子育てが行われなくなった現在は、家族の崩壊の危機にあると訴えられ、現代のICT社会は子どもたちに何を提供していくのか今後の課題につき言及されました。
写真:特別講演の山極 壽一 先生
トークセッション2 「身体発達とスマホ社会」
【身体】「食べて、動いて、よく寝よう!」運動のススメ
前橋 明 先生(早稲田大学教授・人間科学学術院・健康福祉学)
それぞれの立場から現在の状況を直視し、子どもの心に残る思い出、心が動く経験が必要であることを感じました。
【身体】こどもの運動器が危ない!~メディアの影響とロコモ予防~
帖佐 悦男 先生(宮崎大学医学部教授 整形外科リハビリテーション科 附属病院院長)
運動器の重要性は以前から言われていますが、便利さに負けず実生活から、雑巾絞りや水道の蛇口をひねるなどの筋肉を使うような生活を見直す重要性が印象深く、身近にできるところから実践したいものです。
写真:トークセッション2
トークセッション3 「メディア漬けがもたらすもの」
【依存】~スマホゲームとネット依存~
樋口 進 先生(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長・臨床精神医学)
現状の厳しさを改めて感じました。ネット依存に陥った子どもたちへの対策も大変重要ではありますが、さらにネットゲームに嵌まらないような予防対策も必要と感じます。
【睡眠】~メディアの使用と眠り~
神山 潤 先生(東京ベイ浦安市川医療センターCEO・睡眠医療)
改めて睡眠の重要性がわかりました。睡眠不足による弊害、交通事故、肥満、アルツハイマー病などのエビデンスに触れられ、適度な睡眠こそが人間性を保てるとのことでした。ネットやチャットなど、規制も必要ではないでしょうか? 今回の講演については神山先生のHPにアップされています。
神山 潤 先生HP 該当記事URL
http://www.j-kohyama.jp/pdf/20180128Media45min.pdf
写真:トークセッション3
公益社団法人 日本小児科医会 子どもとメディア委員会
※レポート:トークセッション1/内海 裕美(子どもとメディア委員会 担当理事)
:特別講演、トークセッション2・3/藤谷 宏子(ホームページ委員会 担当理事)