#8000関連情報
2022/01/19
提言全文
5歳~11歳の新型コロナウイルスワクチン接種にあたって

2022年1月19日
公益社団法人日本小児科医会

5歳~11歳の小児への新型コロナウイルスワクチン接種の意義と必要性 | ||||||||
わが国の小児における新型コロナウイルス感染症の状況は、成人に比べ感染者数がはるかに少なく、感染者においても症状は極めて軽いか無症状の場合が多い。 一方、5歳~11歳の小児に本ワクチンを接種した場合の効果や副反応に関するデータはわが国には存在せず、諸外国においてもその数は限定的である。 現在接種が想定されているワクチンにおいては、その効果はかなり高いといえるが、副反応としての、接種部位の疼痛・発熱・頭痛・倦怠感などは、この年齢に接種されている他のワクチンと比べ、むしろその発現率は高いと想定され、接種時に一定数起こる血管迷走神経反射、接種後に稀に起こる可能性のある心筋炎・心膜炎などについても十分な注意と対応が必要である。 本ワクチンの効果は感染予防のためというよりは、むしろ発症時の重症化予防のためのワクチンとの意味合いが大きいことから、そもそも重症化することが稀な小児期の新型コロナウイルス感染症においてのワクチン接種の意義は成人・高齢者への接種と同等ではないといえる。 一方で年齢が低い小児であっても、感染してしまった場合の他者への感染リスクの増加、10日以上にも渡る行動制限の必要性と困難性などを考慮すると、新型コロナウイルスの感染は今以上に小児の日常的な生活や環境を奪うことにもつながり、子どもたちの心身への影響は計り知れない。 これらを総合的に勘案した場合、具体的な接種方法などについて十分な議論と準備の上で本ワクチン接種を実施することが求められる。 |
||||||||
小児用ファイザー社製ワクチンについて | ||||||||
|
||||||||
以上からワクチンの組成等は12歳以上のワクチンとほぼ同様であっても、間違い接種防止の観点から、全く異なるワクチンとして扱う必要がある。 |
||||||||
接種体制 | ||||||||
現在小児への予防接種は小児科医や内科医等を中心とした地域開業医療機関において、ほぼ個別接種で行われている。本ワクチンにおいても、対象児や保護者とコミュニケーションが取れやすく面識のあるかかりつけ医での接種が行えればよいが、これらの医療機関では小児への他の多くのワクチン接種も行われており、本ワクチンが通園・通学中の児を対象とし、3週間間隔での2回接種が必要なワクチンであることを考慮すると、予約枠の設定などに多くの工夫が必要になる。 一方小児期への本ワクチン接種の時期は、成人への新型コロナウイルスワクチンの追加接種や、新たに12歳になった初回接種対象児の接種を実施している医療機関が多くある。 この場合12歳以上の対象者用のワクチンと5歳~11歳用のワクチンの2種類のファイザー社製ワクチンを取り扱かう事が必要になり、ワクチンの接種回数、溶解・充填などの準備、接種量確認などの各場面で間違いを防ぐために慎重な作業が求められる。 これらの多くの問題を考えると5歳~11歳のワクチン接種体制においては、地域の接種対象児童数、小児科医を中心とした接種医師数、接種介助にあたる小児診療経験のある看護師数の状況等を考慮し、集団接種と個別接種の併用、接種対象児童の年齢や学年による接種時期の分散、基礎疾患などのリスク因子を有する児への個別優先接種など、検討されるべき事項が多数存在するという認識で接種体制を構築する必要がある。 以下に集団接種と個別接種についての注意点・問題点及びその解決策等を呈示する。 |
||||||||
A.集団接種会場 一か所の接種会場においては小児用ファイザー社製ワクチンのみを取り扱うことを徹底し、5歳~11歳の小児では、ほぼ全例接種時の介助が必要になることから、以下の点に留意し準備を行う。 |
||||||||
|
||||||||
B.個別接種会場 | ||||||||
|