第36回日本小児科医会総会フォーラム in KOBEを担当して

第36回日本小児科医会総会フォーラム会頭
兵庫県小児科医会名誉会長 藤田位
6月14,15日に第36回日本小児科医会総会フォーラム in KOBE を神戸国際会議場で開催いたしました。ご参加の皆様、ご登壇者の皆様、協賛企業の皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。また 2025年7月15日(火)~8月18日(月)の約1ヵ月間、オンデマンド配信を開始しております。ぜひご視聴ください。
今回私たちは、メインテーマを「What is biopsychosocial well-being ?~こどもまんなかをめざして」といたしました。生涯にわたり、身体的、心理的・精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的・経済的に満たされてはじめて子どもたちは幸せになるからです。
フォーラムではまず、日本における子どもbiopsychosocial well-beingの提唱者である五十嵐隆先生に基調講演をお願いしました。そしてその後「かぜ診療」、「思春期」、「健診」、「児童虐待」、「災害時における医療的ケア」の5つのテーマでシンポジウムを行いました。また、「発育評価と内分泌疾患の早期発見」、「ダウン症総合診療」、「開業医アレルギー診療」、「小児消化器疾患」、「虐待とトラウマインフォームドケア(TIC)」、「災害時の心理」、「ポストコロナの感染症」、「川崎病」 、「小児神経学と発達行動小児科学」、「神経筋疾患に対する新規治療法」、「経口補水療法」の11の教育講演を主に関西在住の講師にお願いしました。また、前回の埼玉の医療機関虐待対応プログラムBEAMS1に引き続き、今回はBWEMS2を開催いたしました。特別講演としては、スタンフォード大学教授西野精治先生に「今何故、⼦供の睡眠が重要なのか」と題してお話しいただきました。
市民公開講座では、「一緒に考えてみませんか、子どもたちの食と育ち」のテーマで、有名ホテル総料理長の山口 浩氏に食育の大切さについて、成田奈緒子先生には睡眠の大切さについて御講演いただきました。
いずれのご講演も好評で、BPSの神髄が最初から最後まで貫き通されたフォーラムだったという評価もいただきました。
こどもまんなか社会では、全ての子どもはBPS well-being が可能となります。そんなこどもまんなか社会を作るためには、1)子どもの権利と尊厳を守ること、2)遊びを通して子どものwell-beingを高めること、3)子どもの誕生前から切れ目なく育ちを考えること、4)保護者のwell-beingを支援すること、5)子どもの育ちを支える環境や社会の厚みを増すこと等の視点が必要です。こんな私たちの気持ちが伝わったのではないかと実行委員一同安堵しているところです。
最後に、今フォーラムに準備、運営に関わっていただいた多くの皆様に感謝申し上げます。来年は新潟で第37回総会フォーラムが開催されます。地域で開催されるのは来年で最後になるかもしれません。兵庫県小児科医会会員一同、盛会を心から祈念し報告とさせていただきます。