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イベント・研修会情報
2025/12/09

第12回地域総合小児医療認定医指導者研修会報告

ブログ

今回の指導者研修会のテーマは「包括的性教育 生命(いのち)の安全教育~SOSを受ける大人が知っておきたい」でした。地域総合小児医療認定医にとって思春期の性教育への対応は今後必要になって来る分野です。前回の第11回指導者研修会のテーマは「思春期の子どもに対する医療面接」でした。今回はその思春期でも必要な課題である性教育について、この分野で小中学生への出前授業や全国でのご講演で積極的に活動されていらっしゃる産婦人科医の高橋幸子先生(埼玉医科大学医療人育成センター・地域医療推進センター)に講師をお願い致しました。



開催概要

  • 日時:2025年11月3日(月・祝日)9:55~14:40
  • 場所:ビジョンセンター浜松町
  • 参加者人数:26名

開会挨拶

佐藤副会長の挨拶のあとプログラムが始まりました。

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開会挨拶:佐藤好範副会長
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午後の部:講演1の様子

午前の部 講演1
「プレコンセプションケア・包括的性教育・ユースクリニック」

プレコンセプションケアとは「将来こどもを持ちたいと思ったときに健康な体でいるために若い頃から気遣う事です。それが次世代へのベビーの健康と、子どもを持つか持たないかに関わらず今の若者の健康につながる」という考え方です。この概念は政府の骨太の方針にも組み込まれ、こども家庭庁での予算も潤沢につき、今後各自治体で取り組まなければならない議題です。しかし「産む」事を国家に強制される圧だと感じる女性もいます。SHRH(Sexual Reproductive Health and Right)に基づく 包括的性教育の積み重ねがあってこそのプレコンセプションケアである事を学びました。ざらに世界各国との比較から、今の日本の性教育の現状についてその問題点や今後期待される点などを学びました。


午前の部 講演2
「幼児~小学生向け・保護者向け性教育」

幼児~小学4年生向けに行っている性教育の講演を再演して頂きました。参加者は小学生になった気持ちで講演を聴講し、また小児科医目線での関わり方などを学びました。

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午前の部:講演2資料

午前の部 講演3「中学生~大学生向け性教育」

現在性教育の中心は避妊や性感染症では無く「同意」や「多様性」など、人権教育としての性教育が大切だとされています。先生が企画の一部を担当された小冊子“まるっとまなぶっく”(写真5)を使用して生命(いのち)の安全教育や「性的同意」について確認しました。


昼休みには、、

高橋先生が持参された性教育資料や避妊具を会場の一部に設定し、多くの参加者が閲覧され、高橋先生から説明を受けられていました。


午後の部
「ワークショップ 「私」が伝える性教育をつくってみよう」

午後からは参加者全員で表題に沿ってワークショップを行いました。各グループに等しく男女が混じって4~5名のグループを形成し、各グループ毎に対象年齢(幼稚園児向け(家族には色々な形が有るという事を伝える)、小学生向け(盗撮はいけないという事を伝える)、中学生向け(性行為は何歳からしていい?と聞かれたときに回答するための内容)、大学生向け(ライフプランを考える)を決めて、自由な発想で今子どもたちに伝えたいことをテーマにして、性教育に関してのスライドを作成してみました。内容はなるべくポジティブに(法律で禁じられているから✕、などはNGで)各年齢層に分かり易い内容で性教育を伝えることになりました。講師の高橋先生からは小児科医目線での性教育の伝え方が評価され、就学前からの色々な性教育の在り方と人権問題についての講評を頂きました。

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午後の部:ワークショップの様子

総括

最後に藤田業務担当理事から総括がありました。


今回の指導者研修会は各年齢層に渡る対象者への性教育の伝え方を学びました。子どもたちへの性教育は単なる子どもたちへの教育だけでは無く、根底にあるのは子どもたちの人権を守るのは周囲の大人たちであることを再認識する良い機会でした。


本委員会ではこれからも認定医指導者としての研修会を様々な観点から企画してまいりますので、会員の皆様からの多くのご意見やご提案をお待ちしております。