日本小児科医会 主催「第2回 記者懇談会」レポート

平成30年4月4日(水)、日本プレスセンタービル9階・会見場にて、
日本小児科医会 主催「第2回 記者懇談会」が開催されました。
出席者は当医会関係者や衆議院議員、日本医師会・日本助産師会などをはじめ、マスコミ各社(朝日新聞、産経新聞、毎日新聞、読売新聞、共同通信社、他)32名の方々にお集まりいただきました。
記者懇談会は、当医会 松平隆光 会長の挨拶に始まり、
当医会 公衆衛生委員会(以下、公衆衛生委員会) 峯眞人担当理事による
第1部「予防接種による感染症発生動向への影響と今後への期待と危惧」
続いて、公衆衛生委員会 及川馨 担当理事による
第2部「ワクチンの基礎的な理解と提案」の講演、
その後、積極的な質疑応答が行われました。
写真/記者懇談会の会場風景
●第1部「予防接種による感染症発生動向への影響と今後への期待と危惧」
麻疹を例に挙げてその症状や重症合併症について説明され、2000年では重症麻疹にて入院した患者数が2000人以上であった状況がワクチンによって麻疹罹患患者数が減少し、2015年ついに日本が麻疹排除国としてWHOから認知された経過について解説されました。その他、水痘ワクチン、ヒブワクチン、小児肺炎球菌ワクチンの効果についても言及され、ワクチンの目的について熱く語られました。
●第2部「ワクチンの基礎的な理解と提案」
ワクチンギャップ、副作用、副反応疑い、根絶可能感染症、ワクチンの利益不利益などのワクチンについての基礎について解説があり、その後、HPVワクチンについての経過と現状についての講演に続きました。
HPVワクチンは定期接種となってわずか2か月で厚労省が積極的推奨を中止とし接種率が70%から一気に1%台に減少した経過、名古屋スタディについて、WHOから日本への非難等大変明快に情熱を持って講演されました。名古屋スタディは当医会HPでもご紹介(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708)いたしましたが、2015年、名古屋市立大学鈴木貞夫教授を中心に名古屋70,000例以上を対象としたワクチンと副反応の関連性についての調査です。2016年に中間報告があり、以後報告がありませんでしたが、接種者と非接種者との間で、副反応が疑われる24の症状について統計学的に有意差は無かったとの結果を2018年2月国際ジャーナルに英文で結果を投稿されたものです。
写真/峯 眞人 理事(左) 及川 馨 担当理事(右) ※日本小児科医会 公衆衛生委員会
また、ジョン・マドックス賞を受賞された村中璃子氏についても触れられ、最後に今後に向けての提案で締めくくられました。
質疑応答では、ワクチンスケジュールについて、ポリオワクチン5回接種の必要性について、6種混合ワクチンについて、ワクチンの安全性と副反応の表現について、アメリカにおける無過失補償・免責制度について等、大変積極的な意見交換が行われました。
「第2回 記者懇談会」を通じて、一般の方々が感じていられることと医師側が考えていることには少しズレがあることもわかり、このような機会に医療者側の意見を知っていただくことは大変有意義であると感じました。
(文責)
公益社団法人日本小児科医会
ホームページ委員会
業務執行理事 藤谷 宏子
次回開催予定
●日 時:2018年8月1日(水) 18:30~
●会 場:日本プレスセンタービル9階・会見場
●テーマ:我が国の乳幼児健診の歴史と重要性、そして今後の課題