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2019/12/10

日本小児科医会 主催「第7回 記者懇談会」レポート

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第7回 日本小児科医会 記者懇談会拝聴記(ホームページ委員会 藤谷 宏子 理事)

 日本小児科医会 第7回記者懇談会は、令和元年12月4日(水)午後6時半から日本プレスセンターにて開催されました。
今回のテーマは、メディカル・リテラシーの向上を目指して、小児科医療の最前線からの提言「子どもの感染症、正しく知り、正しくおそれる」~メディアの方々に伝えてもらいたい小児科医のホンネ~で、講師は、当会の藤岡雅司 業務執行理事でした。参加者はマスコミの方々と当会役員を含め26名でした。


●林理事(左) 神川会長(右)


●演者/藤岡理事

 まず、タイトルの寺田寅彦の名言「正しく知り、正しく恐れる」の重要性につきまして、話されました。物理学者で随筆家の冷静な見解は時が経っても変わりないものです。

本題は、●「隠れインフルエンザ」って何? ●予防できる病気、予防できない病気 ●病原体診断の」のおかしさ ●自然って、すばらしい? ●まとめ~メディアの方々へのお願い~の順で話されました。

「隠れインフルエンザ」は最近よく使われていますが、この隠れ○○についての見解を示され、顕性感染と不顕性感染について詳しく説明されました。またインフルエンザワクチン接種の目的は感染予防や発症予防ではなく重症化の予防であり不顕性感染を増やすこと・・・隠れインフルエンザをつくるためであると話されました。

 次に、予防できる病気と予防できない病気についてです。今では皆当り前のように使用している「VPD」ですが、ひと昔前まではあまり認知度もなかったようです。学校における予防するべき感染症について、第一種、第二種、第三種、その他の感染症の分類で疾患や症状などについて、詳しく説明され、その中でVPDを提示されました。ワクチンにより死亡数が激減した百日咳やジフテリア、ポリオ、麻疹などの例や細菌性髄膜炎の際立った死亡数の減少、反対に三種混合ワクチン中止で急に増加した百日咳の罹患数、などを取り上げられ具体的に数字を示してワクチンの重要性について力説されました。安全性、副作用などについても例を挙げてわかりやすく説明されました。

 そして、「病原体診断」については、現在実施できる迅速検査は9種類の病原体に対してです。最近では保育園に通っている子供たちが発熱したり下痢等を発症すると保育園からすぐに迅速検査をするように言われて受診することもよくありますが、検査をする意味、有用性、必要性、不必要性を小児科医の立場で明快に説明されました。統計学的見地からの迅速検査の有用性の説明は大変興味深かく、多くの保育園や幼稚園などで不要な迅速検査の要望が減少するよう現場でも説明する必要があると感じました。また、出席停止についての見解にも触れられました。

「自然」ってすばらしい?は、自然エネルギー、自然食品、自然母乳保育など「自然」はその言葉の持つ印象から無条件に素晴らしいと思われがちですが、小児医療とは自然淘汰から子供たちの生命や健康を守り、子供たちの未来を保障し、百年の計を見すえてするものであると話されました。


●第7回 記者懇談会 会場内の様子

 最後にメディアの方々に、一般の人々の不安を煽るような報道をしないでほしいというお願いと、多くの真面目な小児科医は「面白いこと」は言えませんが「正しいこと」を言っていることを知っていただきたいと、そして本気で日本からVPDをなくしましょうとむすばれました。



●第7回 記者懇談会 会場内の様子

 講演後参加された方々から熱心に多くの質問をされていました。

今回のご講演は、日ごろ私達小児科医が疑問に思っていたり、不合理に思っていることをきれいに解説していたように思います。記者の皆様もすっきり理解していただけた印象を受けました。藤岡先生のご厚意によりスライド原稿を添付させていただきますので、ご高覧頂ければ幸いです。


メディカル・リテラシーの向上を目指して、小児科医療の最前線からの提言
「子どもの感染症、正しく知り、正しくおそれる」
~メディアの方々に伝えてもらいたい小児科医のホンネ~
【スライドをみる】

公益社団法人 日本小児科医会 理事 藤岡 雅司


●記者懇談会の翌朝 車窓から望む「富士山の雪化粧」(撮影:ホームページ委員会 藤谷 宏子 理事)