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2020/01/21

第7回 地域総合小児医療認定医のための指導者研修会 報告

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 今年度から地域総合小児医療認定医指導者研修会を年2回開催し、うち1回は東京、そしてもう1回は各地域で開催としました。そして今年度は沖縄県小児科医会のお力をいただき沖縄県那覇市にて開催するに至りました。令和2年1月13日(月・成人の日)、沖縄県市町村自治会館にて、第7回 指導者研修会を開催しました。
 神川 晃会長の挨拶に引き続き、午前の講演が始まりました。午前の部は、子ども虐待に関する講演2題でした。

●日本小児科医会 神川会長のご挨拶

 講演1は沖縄県立中部病院 小児科の川口 真澄先生から『子ども虐待の対応』という演題で、児童虐待の早期発見、子どもの安全の確保、通告そして、コメディカルの力も借りたチーム医療の必要性、さらには、多種職、多機関連携による対応の重要性、司法面接(警察、検察、児童相談所による協同面接)などのお話を伺いました。2020年4月施行される児童福祉法の改正に、『体罰禁止』が明示され、親のDVの目撃が心理的虐待に当たると明示されたことにも触れらえていました。
●右から 講演1:川口 真澄先生(沖縄県立中部病院 小児科)/講演2:後野 哲彦様(沖縄県ゴザ児童相談所)

 講演2は沖縄県ゴザ児童相談所の後野哲彦様が、児童相談所の業務と、実情についてお話しされ、最近は『面前DV通告』が極端に増えており、業務に支障をきたしかねない状況にあると述べられました。また、地域との連携として、要保護児童、要支援児童の扱い、市町村による早期対応、切れ目のない支援、ケアーマネージメントが期待される。さらには、要保護児童対策地域協議会が有効な例が多く、多機関での情報の共有が重要になってきているというお話もあり、一時保護とそののちの施設、里親制度などの社会的養護への措置、児童福祉司、相談員、市町村などによる支援の充実も大きなカギとなっていることにも言及されていました。

●午前の部 座長:小濱 守安先生(沖縄県立中部病院 小児科)

 昼食の時間には講演3(ランチョンセミナー)にて、元沖縄県中央児童相談所長の山内優子様に貧困についてのご講演を聞かせていただきました。沖縄県は、第2次世界大戦での地上戦の経験から始まり、戦後の多数の戦争孤児に始まり、米国の統治下、祖国復帰、そして現在に至るまでの米軍の基地の問題といった時代背景は非常に特殊な環境を作っていること、そこから生まれる貧困は、若年結婚、若年出産、離婚、児童虐待、少年犯罪を生み、負の世代間連鎖、貧困の再生産を引き起こしていることなどのお話でした。最後に、再生産を食い止めるために、子どもの居場所を作り、目の前の子ども達に、年代に合わせた支援を、未来に向けて取り組むことで締めくくられていました。

●講演3(ランチョンセミナー):山内 優子様(元沖縄県中央児童相談所長)

 午後の講演4は、徳山クリニックの永吉 奈央子先生から『禁煙支援の基礎知識 ~子ども達をたばこから守るために~』の講演を拝聴しました。喫煙の現況と健康被害、未成年者や被喫煙者への有害性から受動喫煙のお話を伺いました。さらに新型タバコの健康への影響にも言及されました。禁煙支援、特に未成年時期での禁煙支援の重要性にも触れられました。

●講演4:永吉 奈央子先生(徳山クリニック JASCS認定禁煙支援医師)


 ご講演の後、禁煙を支援するための声掛けについて5つのグループに分かれ、グループワークを行いました。「喘息発作で受診した子に付き添ってきた父親から、たばこのにおいがしていた」という設定で、父親への声掛けについてグループの中で意見を出し、発表しました。イソップ童話のなかの「北風と太陽」のように、太陽になったつもりの禁煙を促す言葉かけを考えました。

 虐待、貧困、禁煙と非常に重いテーマでしたが、沖縄ならではのお話もあり、非常に考えさせられた1日でした。参加者のアンケートにも、「日常とかけ離れていることと思っていましたが、重要なテーマだと思いました。」「虐待や貧困についてよく理解できました。」「診療の中で虐待を見逃さない意識が重要と思った。」「児童相談所の話が聞けて有益だった。」「沖縄の実情を知ることができた。」「小規模ではあったが内容はとても評価できる。感謝。」などの感想がありました。

 地域総合小児医療認定医の指導者は、後進の育成ということが重要な役割ですが、それ以上に、地域での小児医療、保健、福祉、そして教育などに主体的、指導的役割を担い、多種職、多機関のコーディネーター役も演じることが期待されます。今回の指導者研修会はまさに、そのためにも有益な会だったと思います。改めて、企画していただいた呉屋先生はじめ、沖縄県小児科医会のスタッフの皆さま、そして講演していただいた沖縄の講師の方々に感謝申し上げます。。


【報 告】
日本小児科会 業務担当理事
地域総合小児医療検討委員会担当
佐藤 好範