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2020/10/13

地域総合小児医療検討委員会企画シンポジウム「成育基本法 その先へ ~地域総合小児医療を考える」 報告

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令和2年10月4日に地域総合小児医療検討委員会で企画しました特別シンポジウムを開催しました。ZOOMのウエビナーを用いたLIVE配信で行いました。登録266人、実際の参加者214人(参加率80%)の皆様に視聴していただけました。ご参加いただいた皆様には心から感謝申し上げます。

 地域総合小児医療認定医制度(暫定制度)は平成26年から開始し、5年経過しました。令和元年度より本誌度に移行し、新たに指導者も認定させていただきました。平成29年12月に成育基本法が成立し、今後の地域小児医療も大きく進展していくことが期待される時がきました。そこで、地域総合小児医療検討委員会では、今年6月に予定されていた札幌での第31回日本小児科医会総会フォーラムにおいて、日本小児科学会、日本外来小児科学会の皆様と将来の小児医療について語るシンポジウムを企画していました。ところが、COVID-19流行の影響で、残念ながら第31回日本小児科医会総会フォーラムが開催できない状況になりました。緊急事態宣言が発令され、ステイホームを余儀なくされ、学校、保育園の休校、休園から子どもたちの健康、メンタルヘルスにも大きな影響を及ぼし、さらには受診患者の激減から小児科医療機関の経営危機と、小児医療に大きな問題が投じられようとしています。そのような中で、地域総合小児医療検討委員会では、是非今年、この機に、このシンポジウムを開催したいと考えました。幸い、理事会でのご承認をいただき、事務局の皆様のお力添えで本シンポジウムを開催できることになりました。さらには、日本小児保健協会の理事長である、小枝先生にもご参加いただけることになりました。本当に皆様に感謝申し上げます。

 シンポジウムの内容は日本小児科医会の会員専用サイトから当日の各演者の先生のハンズアウト資料をダウンロード(会員サイトへ)できますので、ご覧ください。各演者のお話の中で共通したキーワードは地域包括ケア、地域総合小児医療、小児プライマリケア、コミュニティ小児科学と言葉は変わりますが、Community Pediatricsに集約されるものと思いました。また、Biopsychosocialの観点から子どもを診ていくということも重要とされていました。私たち小児科医は単に医療だけにかかわるのではなく、医療、保健、福祉にわたり、子どものことを考え、アドボカシーとしての役割も果たさなければならないし、これからの小児科医にも同じ志をもって進んでもらいたいというメッセージも聞けました。さらにそのためには、子どもを取り巻く様々な職種との連携も必要であり、ともに研鑽し、学んでいくことも大事なことだと思いました。

 シンポジウムをご覧になった皆様のご感想はいかがでしょうか。成育基本法を将来の子どもたちのために生かすも殺すもやはり小児科医の仕事だろうと思います。日本小児科医会も、日本小児科学会、日本小児保健協会、さらには日本外来小児科学会も、同じ方向、同じビジョンをもって地域小児医療を考えていることは間違いないものと思います。COVID-19の流行により、さらに方向の修正も必要かもしれませんが、小児科医が向かうところは今も将来も、子どもたちを健康に、幸せに育てていくことと思います。神川会長が抄録の最後に次のように述べられていらっしゃいます。

「子どものかかりつけ医が子どもと保護者を見守る役割を果たせるようにしたい。地域での子育てを社会で支援する体制の構築と、子どもの成育過程を継続してBiopsychosocialに見守る個別健診の創設、そしてどこに住んでいても安心して健やかに子育てのできる子どもの地域包括ケアの提供と小児医療提供体制の維持を求めていく。」
この言葉で、シンポジウムを閉じたいと思いました。


地域総合小児医療検討委員会
業務執行理事 佐藤 好範