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2021/09/04

日本小児科医会 主催「第12回 記者懇談会」レポート

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第12回 日本小児科医会記者懇談会に参加して (2021.8.26 ZOOM開催)

 新型コロナウイルス感染症の感染性がより高いデルタ株が主流となり成人にも子どもにも陽性者が急増し、特に子どもの増加率が高くなっていることから新学期に向け子どもたちの生活を守るため、日本小児科医会と日本小児科学会は同時に「現在の新型コロナウイルス感染流行下での学校活動について」とのタイトルで連名緊急提言を発表した。


●開会宣言/伊藤 隆一 日本小児科医会副会長
  
この提言について始めに日本小児科学会 岡 明 会長から説明された。
提言は
①2学期の学校再開について 
②学校内外での効果的な感染対策について
③小学生と養育者への対応 
④中学校・高等学校の対応について 
⑤感染症対策物資の確保について 
の5項目である。
「現在の新型コロナウイルス感染流行下での学校活動について」共同提言全文

 そして、日本小児科学会 予防接種感染症対策委員会 担当理事の森内 浩幸先生から、最近の子どもの感染症の状況と学術的見解について厚労省資料等により詳細な説明をされた。デルタ株の増加、年齢別の分布では昨年に比し20歳未満の割合が増加しているのが特徴であり、本年5月と7月の比較では5歳階級別の増加でも20歳以下の増加が著しかった。また、全国の5歳階級別感染者と累積ワクチン接種率との比較では、ワクチン接種率の高い方が感染症発症率において低いこともはっきり示されている。感染率では最も増加しているのは夏休みにも関わらず小学校・中学校生徒である。これはワクチン接種率が低いことと同時に子どもたちが夏休みにすごした塾や学童保育などでクラスターが発生していることが原因と考えられる。このことにより単に学校を閉鎖するのみではなく、このような子どもたちが過ごす学校外の場所に対しても学校同様感染対策が必要である。また、学校が休校になる場合は少なくとも一人の保護者が、子どものケアができる社会環境を整えるようにすることも大切であると結ばれた。
参考文献 1)厚生労働省第48回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月18日開催)鈴木基先生提出資料

 次に、日本小児科医会 神川 晃 会長が診療所、クリニックの立場から意見を述べた。4月頃からそれまでの状況とは異なり、子どもへの感染性が増し保護者が罹患すると家族全員が感染する例が多くなっており、少数ではあるが子どもから保護者への感染も認められている。しかし感染経路は、就学前の児では家庭内感染、保育所、幼稚園では保育士や教諭からの感染が多く、高学年では塾や学童保育でのクラスターが起き、それが原因と報道されている。子どもに係る成人の早急なワクチン接種、妊婦の特別枠でのワクチン接種をお願いしたい。現在行われている学校での正しい対策を塾や学童保育にも周知していただきたい。体調が悪いときは自宅で経過観察し、かかりつけ医に受診することが望ましい。子どもの感染も増加しているが、現在でも大人の感染が中心であることから感染防止の観点から大人はできるだけワクチンの接種をしていただきたい。以上の要望事項を発表された。


●診療所、クリニックの立場からの意見を述べる/神川 晃 日本小児科医会会長

 以上の3人の先生方の発表の後、質疑応答となった。質問はマスコミ関係者、回答は今回参加の日本小児科学会 会長 岡 明先生、予防接種委員会 担当理事の森内 浩幸先生、尾内 一信先生、斎藤 明彦先生、日本小児科医会 会長 神川 晃先生である。


●チャットによる質疑応答

【質 疑 応 答】 

★10歳代と10歳未満に対しては感染対応が違うとのことであるが、
 感染爆発している同一地域で小学校 中学校では対応に違いがあるか?

小学校、中学校、高等学校でリスクは異なるが、実際に感染が起こっているそれぞれの地域の状況を考えて対策をとることが重要である。
一般論として高校になるとリモートなどでの講義も実施しやすくなるが、小中学校ではリモート授業だけでは対応できない点も多い。また高校では行動半径も広く、通学範囲も広くなっているのでそれぞれの学校の特性を考えながら対策をとることが望ましい。
インフルエンザ罹患の時と同様に発症状況を考えて対応することが望ましい。


★パラリンピックの子どもたちの観戦プログラムについて
   
いろいろな要素があり学会として統一した回答はない。感染対策のみならず、PCR検査のメリットデメリット、熱中症罹発症の可能性についても多方面からの観点から検討する必要があり、一概にイエスともノーとも言えない。


★子どもに対するワクチン接種の考え方
 
・ワクチンは免疫の少ない集団から開始しているため高齢者から始まっており、まだ子どもには接種できないが順番に接種していく必要がある。12歳未満も安全に接種できることが解れば接種することが望ましい。若年成人が終了していない中、子どもにスポットが当たっているが、人に感染させない観点からも接種できる対象の人はできるだけ受けるべきである。

・12歳や15歳の年齢制限については、子どもの感染症があまり出ていない時期に決定された。子どもの周囲の大人の接種を優先することが大前提であるが、子どもの感染が増加し12歳から15歳の子どもでも重症例が出ている今のステージに入った現在では、重症化を防ぐために接種できる子どもはできるだけワクチン接種することが望ましい。


★学級閉鎖、学年閉鎖の基準
  
指標をそれぞれで作成する必要がある。小・中・高等学校では対応が変わってくる。小学校の場合、子どもが休む時には、同時に保護者の対応も考える必要がある。高校では遠隔講義が順調に実施されているとのことで遠隔講義も取り入れて考える。中学では遠隔講義の準備状況により変わってくる。休校は期間を考えて実施することが必要である。現在、文科省が指標を検討しており近日中に回答が出る予定である。


★マスクの配布について
 
学校ではウレタンマスクをしていることが多いが、これでは感染予防は難しく感染を広めている可能性がある。感染防御のできる不織布マスクをきっちり着用することが必要である。しかし、小学校では貧困家庭も一部あり、子ども用の不織布マスクの購入が難しい場合もある。個別配布では差別のことも問題になるので少なくとも小学校に対しては一括して不織布マスクを配布していただきたい。


★抗原検査キットについて

文科省の方針では、キットを学校に配布して本人が実施することとなっている。検査がしっかりできるかどうか確実にできているか確認が必要である。また、陽性の場合、生徒は先生にどのように伝えるか、受け取った先生がどのように対応するかなど様々なプロセスで課題が多い。実際の運用にあたっては、現場の先生方の正しい理解と採取方法結果をどのように扱うかなど詳細な計画、配慮が必要である。
また、保健室の運用、自分で検査する時の恐怖や鼻出血などの症状が出た時の対応について、保護者の承諾が必要であるとのことであるが全員の承認が取れるか、などが課題として挙げられる。陽性の時の心のケアにも十分に心がけなくてはいけない。
外国でのキット配布は、教職員や保育士対象であり、健康チェックの一環として自宅で調べるためのものであり、学校で検査するのには違和感がある。体調が悪い場合は学校を休む、登校後体調が悪くなった場合も保護者連絡の上帰宅し、かかりつけ医受診が原則である。従ってこのキットを使用するのは大変限られた場合と考えられる。


★気管支ぜん息 アレルギーの方は重症化しやすいか?

デルタ株は感染が早いが、重症化するものが多いわけではない。
重症化することについては、まだはっきりしていない。





※写真は記者懇談会のWEBミーティングからの抜粋です。


日本小児科医会
ホームページ委員会 理事
藤谷 宏子