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2023/06/20

日本小児科医会 主催「第14回 記者懇談会」レポート

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公益社団法人 日本小児科医会
第14回 記者懇談会に参加して

 2023年6月7日、第14回 記者懇談会が開催されました。2019年8月7日に開催された第6回 記者懇談会から4年ぶりにプレスセンタービルからハイブリッド形式(会場とzoom)で開催されました。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、感染対策として第7回~第13回まではzoomによる開催でした。


●4年ぶりの現地開催となった会場/日本プレスセンタービル

 今回、プレスセンター(会場)でのご参加は、衆議院議員 三ツ林裕巳先生、参議院議員 星 北斗先生、小倉將信衆議院議員代理(秘書)の佐田雪美様の他、公益社団法人 日本助産師会会長 高田昌代様、副会長 中根直子様をはじめ、時事通信社様、じほう報道局様、エムスリー株式会社様、読売新聞東京本社様、北海道新聞社の記者の方々が参加されました。またWebにて株式会社協和企画様、共同通信社様、読売新聞西部本社様、北海道新聞社編集局 くらし報道部様、NHK制作局生活食料番組部様、NHK青森放送局コンテンツセンター 制作の記者の皆さまの参加で、合計31名のご参加となりました。


●総合司会/林 泉彦 先生(日本小児科医会 総務担当業務執行理事)

 総合司会は当会総務担当業務執行理事 林 泉彦先生が務め、伊藤隆一 当会会長の開会の挨拶に始まりました。
 こども家庭庁が成立し子育て支援がますます必要とされる中、子どもたちの代弁者としての小児科医が子ども達に寄り添うための切れ目ない子育て支援の必要性から、今回の懇談テーマを選ばれたことを話されました。


●開会の挨拶/伊藤 隆一 先生(日本小児科医会 会長)※写真:右


 今回の懇談テーマは「切れ目ない個別健診 ~子どもたちの育ちに寄り添うために」とし、日本小児科医会 地域総合小児医療検討委員会委員/須田病院の阪下和美先生と、日本小児科医会 乳幼児学校保健担当業務執行理事の稲光 毅先生にお話しいただきました。


 まず、阪下和美先生には「小児期の健康診査における本邦の課題」とのタイトルで、先生の米国での小児科医としてのご経験から米国と日本の健康診査の制度の違いを踏まえ、1.小児の健康課題、2.医療体制の課題、3.子どもの心理社会面を診る、4.ヘルス・スーパービジョン診察、5.これからの小児保健 について詳しく説明していただきました。
 日本の現在の医療は、子どもの年齢や発育時期により乳幼児健診や保険診療で、それぞれの場合に異なった医師が病気の有無の評価や主訴に対しての加療する点の医療であるが、継続的に発育・発達・心理社会面(環境)を見守り心身の健康に影響するリスクの評価予防ができる、かかりつけ医または同じ視点を持つ医師の「つながる医療」「線の医療」が望ましいことを力説されました。これからの小児保健の目標としてBIO(身体面)、PSYCHO(心理・精神面)、SOCIAL(社会面)から心身の健康課題を解決・予防するために、医療者がSDH(健康の社会的決定要因)を含む心理社会面を評価し、積極的に一次予防する仕組みを作り、健やかなメビウスの輪を作ることが大切であると結ばれました。


●演者/阪下 和美 先生(日本小児科医会 地域総合小児医療検討委員会委員/須田病院)


 次に、稲光 毅先生からは「かかりつけ医療機関で行う、生後2か月からの予防接種の機会を活用した子育て支援の推進」とのタイトルでお話しいただきました。少子化・核家族化が進み、2003年のアンケートで子どもが4か月の時に子育てについて相談できる人いないと回答された保護者が30%を超え、1980年の15%に比べて子育ての孤立化が明白になっていることをお示しいただきました。
 子育てを支える機能が低下し、制度としての子育て支援が必要とされています。そのような状況下で、先生ご自身が実施されている生後2か月からの予防接種のために小児科を受診する機会をとらえ、身長・体重を計測して母子健康手帳の成長曲線にプロットすることで、保護者と一緒に子どもの発育について確認することや、日本小児科医会が作成した子育ての悩み・不安等についての問診票を利用して、小児科医が保護者の身近な相談先である事を伝え子育ての支援されている方法を紹介されました。また、生後0カ月の虐待による死亡例も取り上げられ、保護者の抱える不安や心配事の相談に応じて地域の行政や民間の支援につなぐ小児科医療機関の役割の可能性について熱く語られました。


●演者/稲光 毅 先生(日本小児科医会 乳幼児学校保健担当業務執行理事)


 2題の講演の発表後は積極的な意見交換、質問がありました。米国の制度と日本の制度の違いについて、皆保険でない格差ある米国の問題点なども取り上げられていました。また、子育て経験のある方からは、どの様にして良い小児科医を見つけるか、どの小児科医に診てもらったら良いのかなど具体的な質問も出ました。

 今回取り上げられたテーマは、すぐに解決される問題ではありませんが、今回の記者懇談会を機会に子育て支援の必要性を幅広く共有し、それぞれの立場でできる子育て支援から始めることが必要であると痛感致しました。

 講師の先生のご厚意により当日のご講演スライドを提供していただきました。 是非ご高覧ください。 


●阪下 和美 先生の資料
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/230607_shiryo_01_sakashita.pdf

●稲光  毅 先生の資料
https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/230607_shiryo_02_inamitsu.pdf



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