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2022/06/22

子どもの新型コロナワクチン接種を奨める医療関係者の皆様へ

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新しく分かった事実を基に、子どもたちへのワクチン接種勧奨を‼

  • 接種後の発熱や痛み、だるさなどの副反応は大人に比べて軽い。
  • 感染してしまうと、時に重症化したり、稀に命を落とすこともある。
  • 感染した場合の10日に及ぶ行動制限は、児にも家族にも大きな負担。
  • 今シーズンはインフルエンザ、RSウイルスとの同時流行も懸念される。
  • 子どもたちにとっても、ワクチンによる感染・発症・重症化予防の持つ意味は大きい。

新型コロナウイルス・オミクロン株の流行に伴い10歳未満の子どもたちの感染者が急激に増えました。多くは症状が軽く、無症状の場合もあり、発熱などの症状も大半は数日でなくなります。しかし今までに一度もこのウイルスに感染したことがなく、ワクチンも接種していないこの年齢の子どもたちにとっては、感染力が強いオミクロン株の流行は感染を拡げる大きな要因になっており、多くの感染者の中にはクループ様症状による呼吸困難、熱性けいれん・熱せん妄などを呈する例は少なくなく、少数ですが脳炎・脳症も報告され、稀ではありますが死亡例もでています。

現在子どもたちに感染が確認された場合、インフルエンザのような、治療薬はありません。また感染が拡大した場合、マスク・手洗い・3密を避けるなどの感染対策をしっかり行うことは子どもたちにとっては難しいし、弊害も起こりえます。

一方新型コロナウイルスワクチンのオミクロン株に対する効果は、感染を防ぐ効果が31%(MMWR 2022;71(11):422-8)とされています。この数値は決して高くありませんが、他の感染対策と組合せることで感染予防効果は高まります。

保護者の方の中には、新型コロナウイルスワクチン接種後に高い熱がでたり、接種した腕が痛くて動かせなかったり、体がとてもだるかったりなどの症状が出た方がかなりおられます。しかし5~11歳用のワクチンは、含まれるmRNA量が1/3と低いため、これらの副反応症状が出ることが非常に少なく、その程度も軽いことが分かってきました。
(以下資料2点)

また今年とても心配なのが、この2シーズン全くといってよいほど流行のなかったインフルエンザが海外で流行の兆しを見せていることです。さらに昨年夏から秋にかけて大流行したRSウイルス感染症の流行が再びあるかもしれません。インフルエンザやRSウイルス感染症は新型コロナウイルス感染症と比べ、小児ではむしろ重症化しやすいと考えられ、これらが同時に流行することには強い警戒を払わねばなりません。

RSウイルス感染症にはワクチンはありませんが、インフルエンザには生後6か月から、新型コロナウイルス感染症には5歳以上の子どもたちを対象としたワクチンがあります。これらのウイルスの同時流行から子どもたちを守るには、ワクチン接種は大きな意味を持つと思います。
新型コロナウイルスワクチンについては、その効果や副反応などに不安や疑問をお持ちの保護者への接種勧奨をどのようにすべきか迷われている医療関係者も多いでしょう。

本文でお示しした情報などを十分お読みいただき、子どもたちを守るために新型コロナウイルスワクチンとインフルエンザワクチンの接種も含めて、保護者の方に奨めていただきたいと思います。

公益社団法人日本小児科医会
公衆衛生委員会