2022/09/29
2022 年冬のインフルエンザ、新型コロナの同時流行へのワクチン対策
新型コロナウイルス感染第7 波が猛威を振るい、子どもたちの感染も急激に増加しました。割合としては多くないものの、重症化した例や死亡例も増えてきています。しかも今シーズンはインフルエンザとコロナの同時流行の危険性がかなり高まっています。
このような状況を前に、本年7 月22 日に開催された厚生科学審議会において、新型コロナワクチンとインフルンザワクチンの同時接種の実施が可能との発表がありました。また両ワクチン接種間隔の2 週間(中13 日)の縛りも外されました。これは、両ワクチンの同時接種が、各ワクチンを単独で接種した場合と比較してもその有効性および安全性が劣らないとの報告・等を踏まえたものです。一方、インフルエンザワクチン以外のワクチン接種については、従来通り同時接種の不可や原則13 日以上の間隔での接種という考え方に変更はありません。しかし後者については特段の事情があれば接種医の判断で短縮も可能ですので実際の運用については自治体の担当者にご確認下さい(参考:新型コロナウイルス感染症に係る臨時の予防接種実施要領)。
現在ワクチンが存在する両疾患において、子どもたちの感染者数や重症化を極力減らすために、それぞれのワクチンを積極的に接種することが極めて大切です。
以下に今シーズンのインフルエンザワクチン接種を円滑に進めるための留意点を記載しますので、参考にしてください。
- 小児ではインフルエンザワクチン、コロナワクチン以外に多くのワクチンを接種する機会があります。今回認められた新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種や短間隔での接種を有効活用した接種スケジュールの作成をお願いします。
- 接種手技として新型コロナワクチンは筋肉内注射、インフルエンザワクチンは皮下注射であり、それぞれ接種経路が違います。従来の皮下注射主体の接種とは異なりますので接種部位等を含めた特別な工夫が必要です。新型コロナワクチンの接種では三角筋中央部だけでなく、筋肉量が少ない小児における注射部位として、大腿前外側部に存在する外側広筋で中央1/3 がその接種部位として推奨されています。(小児に対するワクチンの筋肉内接種法について・改訂第2 版日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会より)
- 今回示された新型コロナワクチンおよびインフルエンザワクチンは国が認可した全ての両疾患対応ワクチンが該当しますが、非認可の生インフルエンザワクチンは対象外です。
令和4年9月27日
(改訂10月3日)
公益社団法人日本小児科医会公衆衛生委員会