令和2年6月7日に開催されました令和2年度定時社員総会・臨時理事会において日本小児科医会会長を再度拝命いたしました。これから2年間よろしくお願い申し上げます。
日本小児科医会は、昭和59年5月に発足以来、定款に掲げております「小児の保健、医療及び福祉の充実、向上を図るための事業を行い、小児の心身の健全な発育に寄与すること」を目的に事業を展開してまいりました。
会員が子どもと保護者に寄り添い、「子どものかかりつけ医」として、地域の皆さまから信頼され地域医療の場で活躍することを願っており、そのために多くの委員会を設置しております。
現在、乳幼児学校保健委員会、学術教育委員会、子どもとメディア委員会、子どもの心対策委員会、国際委員会、小児救急医療委員会、公衆衛生委員会、社会保険委員会、広報委員会、ホームページ委員会、地域総合小児医療検討委員会が子どもの健やかな成育を願って活動しております。また、日本小児科学会、日本小児保健協会、日本小児期外科系関連学会協議会や日本医師会などと協力してより良い子育て支援の実現に努めています。
乳幼児学校保健委員会は、学校医や園医、嘱託医が学校や幼稚園、保育園での問題解決をなし得るよう研修の場を提供しております。子どもとメディア委員会は子どもとメディア接触について啓発活動をしております。子どもの心対策委員会では、研修会を定期的に開催することで「子どもの心」相談医を約1,200名誕生させ全国の子どもの発達障害などの相談に当っております。国際委員会は主に海外で生活している子どもたちの健康維持に努め、小児救急医療委員会は#8000事業を全国展開することで、小児時間外診療の充実に寄与しております。
公衆衛生委員会は予防接種の普及と会員への最新の情報伝達に努力しております。広報活動として会報、ニュースの刊行のほか、HPに各種情報を提供しております。また、子どものかかりつけ医として地域貢献していただくために、平成27年「地域総合小児医療認定医制度」を発足させ、約900認定医を承認しております。
このように、日本小児科医会の事業は多岐にわたっておりますのは、育児不安、虐待、発達障害、不登校、いじめ、自殺、医療的ケアや貧困など様々な困難を抱えている子どもと保護者に寄り添い、対応策や解決策を一緒に模索していかなくてはいけないと考えるからです。
しかし、残念ながらこれらの問題をすぐ解決する方法は今のところありません。令和元年に「成育基本法」が施行されました。成育基本法とは胎児期から新生児期、乳幼児期、学童期、思春期を経て次世代を育成する成人期までに至る「人のライフサイクル」の過程に生じるさまざまな問題を包括的に捉え、適切に対応できるようにする法律です。この主な目的は、子育てを社会全体で支援することであります。そのためには、地域の小児医療を担っている小児科医の社会への働きかけが重要であります。成育基本法の施策に今の子どもと未来の子どもの健全な成育を願い、子どもの周りで起きている問題を提起し、子どもと保護者のために行動することが、小児科医に求められていると感じます。
日本小児科医会は、これからも子どもたちの健やかな発育を守るために努力してまいります。国民の皆様と会員各位のご支援とご指導をよろしくお願い申し上げます。
(2020年6月30日)